受講生インタビュー、「韓国語・字幕翻訳プログラム」を受講いただいたC.S.さんにご登場いただきました。

 

Cさんは韓国生まれ。11歳のころ、両親のお仕事の関係で来日。来日後は日本の小学校、中学、高校、大学と進まれ、大学4年在学中に韓国の梨花女子大学通訳翻訳大学院の入試を受け、通訳学科に見事合格。大学院卒業後は日本に帰国し、IT企業に就職。現在はメーカーで社内通訳翻訳を担当。完璧な日韓バイリンガルです。

 

韓国の映画やドラマに日本語字幕を付ける字幕翻訳家は、その仕事の性格上、日本語ネイティブの方がほとんどですが、Cさんは両言語を自由自在に操るバイリンガル。そんなCさんがどのように字幕翻訳の学習をされるのか、とても興味がありました。早速、お話を伺ってみたいと思います!

 

未知の世界「映像翻訳」にチャレンジしてみたかった

 字幕翻訳クラスを受講したきっかけは?

 これまで通訳の勉強をしてきて、その中で翻訳も経験しましたが、「映像翻訳」は全く経験がなく未知の世界だったので、とても興味を持ちました。仕事と家庭を両立させながら語学力を活かすことができる仕事としても憧れます。

 

 「基礎クラス」ではどんなことを学びましたか?

 まずは字幕翻訳のルールを知ることから始まりました。制限文字数のこと、表記の規則、言葉の選び方などですね。

(Cさん提供資料より-「基礎クラス」カリキュラム表)

 

 

これは実際に私が課題で作成した翻訳プリントです。翻訳ソフトに打ち込んだ字幕をこのようにプリントアウトすることができるのですが、左の黒い字が打ちこんだ日本語字幕で、数字はその文字数です。

 

この課題を授業の前日までに学校にデータで送ります。授業に参加するにあたって、これをプリントアウトしていきます。授業で先生がコメントをくださいますが、先生からの注意点やアドバイスは赤い字、クラスメイトの名訳は緑の字で統一し、メモを取りました。場面解説などが入るとどうしても、その日の授業でいちばん最初に見てもらう人の時間が長くなるので、先生が都度、順番を入れ替えてくれたりしました。


吹き替え翻訳にもチャレンジ。書き言葉と話し言葉のバランスを取るのが大変

 

 「養成クラス」ではどんなことを学びましたか?

 字幕翻訳の演習を行うのはもちろんですが、吹き替え翻訳にも初めてチャレンジしました。吹き替え翻訳は、声優さんの台本を作る仕事です。

 

 

これは吹き替え翻訳の課題プリントです。字幕翻訳と吹き替え翻訳では、やり方が全然違いましたね。例えば、

登場人物がため息をすると、字幕翻訳の場合は何も書かなくていいのですが、吹き替え翻訳の台本には、

 

<<ため息>>

 

と書かないといけないんですよね。

 

取り組む前までは、字幕と吹き替えで難易度に違いはないのでは、と思っていましたが、吹き替えの方が気を

使わないといけない部分が多いような気がしました。先生は声優さんが見て分かりやすい台本に仕上げることを

意識し、収録現場にも足を運ぶそうです。

 

吹き替え翻訳は、映像の中の俳優さんが口を開けている間は、声優さんにいろいろ話してもらうことができる

ので、流行語を入れたり、言い回しを工夫したり、表現を広げて遊べる部分があるのが魅力ですね。


「字幕は、話し言葉と書き言葉の中間」と聞きました。吹き替えは完全に「話し言葉」ですよね。ある映像の主人公の口癖で、「이런 미친(イロン ミッチン)」というものがありました。何かにつけて、人に対しても、独り言でもこれを言うのですが、先生が吹き替え翻訳で「このタコ」と訳していました。口の悪い若者のキャラが出ていて、お上手だなぁ、と思いました。でも、字幕になるとどうでしょう。字幕の場合、私は「クソッタレ」と訳しましたが、これが音声で聞こえてきたら、ちょっと不自然かもしれません。「クソッタレ」って、なかなか言いませんし(笑)、「このタコ」のほうが軽い感じで聞き流せます。

 

書き言葉と話し言葉のバランスを取るのは本当に難しいですね。砕けすぎると注意され、逆に気を付けると次はとても硬い翻訳になってしまったり……。でも、授業で吹き替え翻訳という、とても貴重な体験ができて、本当に良かったです。


 日本語ネイティブの方に比べ、聞き取りは苦労なかったのでは?

 DVDの特典につくような韓流スターインタビュー映像の翻訳も取り組みました。編集されていれば映像も音声も整った状態ですが、そのままだと話されている内容自体がちゃんとした文章になっていないこともあります。しかし、字幕にするときは、できるだけきちんとした文章で書かないといけないので、とても時間がかかりました。

 

クラスメイトのほとんどは日本語ネイティブです。私は韓国語も日本語も聞き取りは問題ないので、課題はほとんど台本を読まずに行いました。それでもマイクが遠かったり、モゴモゴしてたまに聞き取れない箇所がある場合は、なんとか流れに沿って違和感のないように訳すしかなかったですね。先生もそうするしかない、とおっしゃっていました。

 

時代劇だけは台本を見ました。見ないと無理ですね。職位とか、時代背景とか、専門用語が出てくるので。そもそも韓国人も知らないような単語や、普段の生活で接しない単語が出てくるのできちんと調べないと大変なことになります。台本に解説が書いてある場合もあり、それは助かりました。


翻訳に行き詰まると、ついついネットサーフィンをしてしまったりも

 

 その他、授業を通じ、どんなことが大変でしたか?

 最初は試行錯誤するため課題をこなすのにとにかく時間がかかりました。養成クラスの最後の頃は、少し時間を効率的に使えるようになりましたが……。

 

1回の授業で約7分の映像の課題が出されましたが、それをこなす時間と労力がとにかく想像以上でした。純粋な作業時間は1回の授業あたり5時間くらいでしょうが、合間にリフレッシュしたりする時間も含めると倍以上になると思います。

 

宿題をするのは平日夜2回。土日はどちらか半日以上。もっと集中してきちんとやればできるはずですが、ネットサーフィンをしてします。ドラマに出ている俳優に興味が出て検索して、「あ、前にこんなドラマに出ていたんだ」とか、ゴシップ記事を発見したりとか、そうこうしているうちにあっという間に時間が経ってしまう。または、地名を調べていたら、マッチプ(맛집/美味しいお店)情報が出てきたり、バナー広告を押してしまったり(笑)。

 

よくよく考えると、ピッタリくる良い訳が思いつかなくて、行き詰っているときにどうやら押してしまうみたいです。ノッているときは目にも入りません。そうなるときも結構あります。その落差が激しかったですね。

 

 どんなことが楽しかったですか?

 字幕翻訳の勉強は、通訳の学習や普段の仕事では接してこなかった内容、題材でした。生活に密着した内容がほとんどなので、とにかく新鮮でしたね。生活に密着しているからやり易いと思った反面、シチュエーションに合った言葉がなかなか出てこなくて意外に思いました。

 

他のクラスメイトの翻訳を見るのも楽しかったです。同じ日本語ネイティブ同士でも解釈や訳が全く違ったりするところが興味深かったですね。いいな!と思った表現は、メモを取って役立てました。

 

また、表現したいことはたくさんあるのに、字数が限られているためにグッとこらえて訳を出していく……。訳す人のセンスが問われます。でも逆にそこにやり甲斐を感じましたし、何より名訳を思いついたときの快感は何にも代えがたいですね。


とにかく、自分の手で何かを作り上げるのはとてもやりがいがあります。見返すと恥ずかしい気持ちになることがほとんどでしたが、いずれ私が翻訳する作品を多くの方々に喜んでもらえたら、それ以上嬉しいことはないと思います。

 

新しいスキルを得られたことが収穫

 

 受講の収穫は?

 映像翻訳、という新しいスキル、仕事の幅を得られたことです。一つ可能性を広げられたことがとても大きいことだと思います。

 

 クラスメイトの皆さんとはどんな交流をされましたか?

 ご飯を食べに行ったり、仲が良かったです。私以外は皆さん日本語ネイティブの方でしたが、映像の韓国語のセリフを日本語に訳す際、韓国語の誤解などもほとんどなく、ほんとうに丁寧に時間をかけて作業されているんだな、と感動していました。私は台本等に頼らずにいられますが、それに費やしている努力を考えると尊敬します。

 

 朴澤蓉子(ほうざわようこ)先生 はどんな先生でしたか?

 とっても可愛いらしくて、最初教室でお見かけしたときは、先生でなく、同年代のスタッフの方が授業の準備をしていると思いました。先生も可愛いし、スタッフの方も優しいし、いつも授業のたびに癒されていました(笑)。

 

でも、先生はしっかり教えてくださいましたね。「これでも良いんですけど」と言いつつも、「もっとこうした

ほうが」と、ハッキリ指導してくれました。

 

 当校や授業に対し、「もっとこうだったら」というご要望、ご希望はありますか?

 毎回、「時間が足りない」と思いました。もっと先生からじっくりコメントが欲しい!と。80分授業でしたが、120分くらいはあるといいですね。

 

(幡野)そうでしたか。翻訳の世界は奥が深いのでいくら時間があっても足りなそうですが、是非先生とも相談してみたいと思います!

 

 あと、学校からお仕事の紹介があるといいですね。

 

(幡野)翻訳会社さんの名前などの情報を受講生の方にお教えし、トライアルテストを受けて頂くこともできると思いますし、翻訳会社さんから受講生の紹介を依頼されることもあります。そのときは是非ご案内させていただきます。

 

 今後の目標は?

 少しずつ字幕翻訳の仕事を始めていきたいです。実は最近、紹介でスポッティング(字幕が切り替わるタイミングを決め、字幕の枠を取ること)の仕事を少しずついただくことになり、プロ用の字幕ソフトを購入し、開始しました。翻訳に負けず劣らず、スポッティングも難しくて、やり甲斐があります。

 

仕事と思うと作業中の緊張感が大きくなり、そのせいかミスもしてしまいます。見直しもし、しっかり仕上げたつもりでもフィードバックをもらうと、「どうしてこんなところを間違えたんだろう……」というようなことも多く、落ち込んだりもします。これから試行錯誤をしながら、限りなくノーミスに近づけて納品したいです。

 

ゆくゆくは、自分の翻訳した作品が映画館で上映されることを夢見ています。


 

インタビューを終えて

                アイケーブリッジ外語学院の代表・幡野(写真右)と一緒に

 

Cさんのような無敵の日韓バイリンガルでも苦労したという映像翻訳という作業。受講生の皆さんが、お仕事などをされながら、課題をこなし、新しいことにチャレンジされようとする姿に改めて感銘を受けました。また、課題に行き詰まり思わず脱線してしまう、というところにCさんの人間らしさも垣間見ることができ、親しみがわきました。是非これから少しずつ実績を積まれ、いつか翻訳者Cさんのお名前を映画館で拝見したいです。その日を私も夢見ています!

 

2016年8月

 

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